この動画シリーズでは、イノベーティブ・デザインLLCが日本国内の自動車、電機、航空、宇宙、防衛、船舶、医療などの領域のクライアント企業様と取り組んだMBSE関連プロジェクトで実践してきたシステムモデルと、その活用についての最新事例を紹介します。

1つ目の動画ではシステム屋が仕事を早く、上手く進めるために、システムモデルを作成し活用する様子について紹介します。 システムモデルの作成も活用も、システム屋の仕事の流れの中にスムーズに取り込むことが出来なければ意味がありません。我々が様々なクライアントと取り組んでいる、システム屋の仕事を加速し、質を高めることを目的とした、システムモデルを核としたデジタル・インフラ（＝ツールチェーン）のいくつかの例を紹介します。

2つ目の動画では実践的なシステムモデルの作り方について紹介します。 〇〇ダイアグラムを作ったら次は△△ダイアグラムも作ろう、というアプローチでは取り留めなくモデリングが続いてしまいます。プロジェクトの課題を解決するためにどの様な情報と関係性を管理し活用すると良いか、という考え方に則ってシステムモデルの範囲と、システムモデルで扱う情報や関係性を意図的に絞ったり、粒度を定めたりすることが成功のポイントであることを紹介します。

3つ目の動画では実際にモデリングツールなどを使ってシステムモデルを構築する際の工夫について紹介します。 システムモデルで扱う情報や関係性の種類を意識し、巨大なひと塊りのシステムモデルではなく、いくつかの「系」に分けた形にすることをお勧めします。システム屋としては「系」跨ぐ関係性により注目をするということもポイントの一つです。

4つ目の動画ではシステムモデルの構造設計に基づいて作られた情報構造体としてのシステムモデルの活用について紹介します。 我々がシステムモデルに関して最も強調したいのは、システムモデルの活用を検討すべき、ということです。システムモデルから情報の関係性を辿ったりフィルタリングしたりして、狙った一連の情報を抽出し、システム屋の様々な場面での判断や意思決定の補助となるような表、グラフ、図やそれらを組み合わせたダッシュボードとして示すことで効果的な活用が出来ていると言えます。

5つ目の動画では実際の開発現場においてシステムモデルを効果的に作成し活用するためにとくに重要な4つの工夫や注意点について紹介します。 開発においてMBSEを実践しようと試みた際に多くの方や組織が直面するであろう状況について、我々がこれまで様々なクライアントと取り組んできた工夫や注意点を４つご紹介します。開発対象やプロジェクト体制によってMBSEの実践の仕方は様々に異なりますが、どのような場合でも共通するであろうポイントを取り上げています。

村田機械株式会社 研究開発本部様は2019年からシステムズエンジニアリングへの本格的な取組みを始めました。
2022年1月現在、システムズエンジニアリングを理解して応用することができる”システム屋”が生まれており、実際の開発に貢献し始めています。
こうしたシステム屋が牽引し、システム開発の更なる効率化、高度化を目指したModel-Basedシステムズエンジニアリングにも挑戦が始まっています。
本講演では、システムズエンジニアリング、Model-Basedシステムズエンジニアリングを"知る"ことから、システム屋が実開発に貢献していくまでに得た気付きやノウハウをお話し頂きました。実際の開発プロジェクトの内容もご紹介頂きながら、システムズエンジニアリングがどの様に現場の課題解決につながったかを具体的に共有して頂き、システムズエンジニアリング、Model-Basedシステムズエンジニアリングに興味を持っている、取組み始めたが実開発に貢献するイメージがまだ湧かない、という方に特に参考となる内容でした。

本田技研工業株式会社様は2017年頃から現在のシステムズエンジニアリングへの本格的な取組みを始められました。
昨年のAD/ADAS開発の事例講演に続き、2024年2月現在、今回のパワーユニット開発やその他の技術ドメインにおいてもシステムズエンジニアリングを理解して組織として実践する体制が構築されつつあり、その過程において様々な課題への取り組みが継続されています。
今回の事例紹介は、システム開発における「検証フェーズ」をスコープとして設計情報やプロジェクト情報を活用した開発推進のための取り組みであり、これまで多く報告された要求分析工程に中心とした事例とは異なり、開発全体におけるモデルベースの効果的な活用の方向性を示す非常に良い事例となりました。刻一刻と変化する開発現場の状況において、より良い製品を開発するという目的を掲げ、そのための効率的、高度な判断が迅速にできる開発の進め方はどうあるべきか、それらは開発の情報をどのような情報構造体として構築し、適切な形に抽出して意思決定に繋げられるか。目的思考を重視したシステム屋さんの開発チームへの指示出しと、それを支える支援チームによる的確なモデル（情報構造体）構築とその運用について、小規模のロールプレイながら今後に繋がる効果的な取り組み事例としてとして示されていました。これらの経験を基づく苦労やノウハウ、そして参加者様へのアドバイスをご紹介いただきました。また先例に続く組織づくりや人材の発見に取り組まれているとのことで、これから組織的にシステムズエンジニアリング、Model-Basedシステムズエンジニアリングに取り組もうとされる企業様にとって非常に参考となる事例でした。

前例の無い世界初の月面走行システムであり、月面の有人探査という野心的な挑戦の重要な一部を担うことを求められるのが有人与圧ローバです。その開発には、高い創造性、論理性、エンジニアリング力を駆使して宇宙開発で培われた幅広い知見と、数多くの自動車の開発と世界への展開で得られた知見を高度に融合することが求められています。この有人与圧ローバ開発のシステム推進室 室長として、外部システムとの高度なインタフェース調整、有人与圧ローバとその地上局に関する技術領域を横断した設計検討や意思決定などをリードされている岡野様にご登壇頂きます。
岡野様ご自身のエンジニアとしてのキャリアパスの振り返りも交えながら、”システム全体をエンジニアリングする”ということの難しさや面白さ、気づきや工夫などについてお話を頂きます。現在進行形の大規模システム開発の”システム屋さん”のお話を伺うことが出来る非常に貴重な機会になるかと思います。（文責：イノベーティブ・デザインLLC 石橋金徳）

ご講演者の長谷川様は現在、量産に向けたBEV(Battery Electric Vehicle)の電源制御の開発に従事されています。電源制御の中でも、ほとんどの車載システムが連接していると言っても過言ではない12V系（通称、低圧系）の給電の制御システムを担当されています。つまり、相当数の車載システムの担当部署や担当者と低圧系給電に関するインタフェース調整を行うことが求められるお仕事です。調整先が多いため、扱う情報の量が多いことは当然ですが、各車載システムの開発も同時並行で進んでいるため情報の修正や更新も頻発する状況です。
この様な状況において、低圧系の給電制御システムの特性、その開発の特徴に合わせてModel-Based技術（＝システム記述言語を用いたシステムモデルの作成とその利用）を適切に応用して、煩雑な仕事の負担を軽減しながら、設計の品質を向上させる工夫をされている様子についてお話を頂きます。ご講演の中では、ご自身の体験からMBSEの活用を志そうとしている方々へのヒントやメッセージもお話し頂く予定です。実際の開発に直接貢献するModel-Basedなシステム屋さんの仕事の仕方（=MBSE）として多くの方にご参考になると思います。（文責：イノベーティブ・デザインLLC 石橋金徳）

基調講演として、本田技研工業 大久保様より同社におけるSE/MBSEの取り組みについてご講演を頂きます。大久保様は、自動車開発の中でも自動運転、先進運転支援、パワーユニット、車両制御など様々な開発対象に対して、横断的に開発プロセスの改善や関連する技術支援などを行っている開発プロセス改革部をリードされています。開発プロセス改革部では、大規模プロジェクトにおいて技術領域を横断し、多くの関係部署を牽引しながら、難易度の高い開発をリードするシステム屋（システムズエンジニア）を発見し、彼らの能力強化を加速し、彼らが自らの開発においてSE/MBSEを適切なスピードで効果的に実施することを可能にする”SE/MBSEチーム”の実現を支援することにも取り組んでいらっしゃいます。
7年以上の活動の結果として、実際の開発現場においてシステム屋（システムズエンジニア）がリーダーとして活躍し、良い結果を生み出していると言える状況です。この様な成果を実現する過程と、現在も、システム人材の発見・育成、マネジメント層の理解促進、新しい開発手法の実践に適したスピードを確保するための工夫、デジタル・インフラの探索と構築、ビジネスパートナーとの協力体制作りなど、多岐にわたる継続的な工夫や努力が行われています。
このような活動を長きにわたって推進されてきた大久保様に、これまでの取り組みを振り返っていただきながら、マネジメント層や開発現場など、異なる立場の方々へのヒントやアドバイスなども交えてお話いただく予定です。SE/MBSEで実際に開発や仕事の仕方を改善、改革していくイメージを深め、自組織の取り組みの参考となる貴重な機会となると思います。（文責：イノベーティブ・デザインLLC 石橋金徳）